垂直落下式サミング

姦婦の生き埋葬の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

姦婦の生き埋葬(1962年製作の映画)
3.5
エドガー・アラン・ポー原作の怪奇小説の映画化で監督はロジャー・コーマン。原題「早すぎた埋葬」の方が決闘者には馴染み深いかもしれない。
生きながらに埋葬される恐怖を描いた作品だ。全身硬直という奇病を患う男が、もし事情を知らない人のもとでこの発作が起きたら、死んだと勘違いされて墓の下に生きたまま埋められてしまうのではないか、自分は妻にいつか殺されるのではないか、という恐怖から不安にとりつかれ憔悴する。妄想を膨らませるあまり、ありもしない“もしもの時”のために、生来の小心者があれこれ対策を講じる姿が滑稽だ。
過去には検死技術の不完全さから、実際に人が生きたまま埋葬される事があり、死んだはずの者が棺の中で目を覚まして帰って来たとか、薬品を用いて他人を意図的に仮死状態にし埋葬する呪術めいた教義があったとされ、その噂が広まって死者復活伝承の源流となったそうだ。
私は映画で霧がかった墓地のセットが出てきたらテンション上がるのですけど、この作品では冒頭からいきなり墓荒らしシーンではじまり、そしてその霧の量がハンパじゃない。これは景気が良いではないか。緑と紫色の合成は、怪奇でゴシックで素晴らしかったと思います。