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非情都市の一のレビュー・感想・評価

非情都市(1960年製作の映画)
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タイトルに偽りなし。ジャーナリズムが人の命を失わせる様をわざわざオープニングに置いておきながら、それも最後まで誰にも何にも響かず、恋人を利用してまで法を侵してまで、あくまで自分自身のために事実を追う記者・三橋達也を圧殺する黒い権力システムが彼の周囲に滲み出ていく、情感も共感も一切拒否する物語の非情に震える。何食わぬ顔で三橋を突き放すデスク稲葉義男の顔とキャラが一番怖い。原案になっている手記を書いた三田和夫って、安藤昇が起こした横井英樹襲撃事件で犯人を匿って新聞社をクビになった記者らしく、つまりこれ安藤組映画です。
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