アーリー

プロメテウスのアーリーのレビュー・感想・評価

プロメテウス(2012年製作の映画)
3.4
2023.9.14

リドリー・スコット久々のSF。雰囲気や映像で魅せるような作品。

「エイリアン」の前日譚とは言うけれど、実際にはそこまで直前の話ではない。今作がエピソード1とするなら、「エイリアン」はエピソード4ぐらい。新たなる希望を見た後にファントム・メナスを見てるような、それぐらい遠い過去のお話を見せられた気分。しかもそもそも今作は全然エピソード1じゃない。もっと気が遠くなるような時間の流れの中の一つの出来事。エピソード84とか言っても過言ではないのでは。

エイリアンとは何かを語るために、そもそもそれを作った超次元生命体の存在が必要。それを人類の起源と絡めて作られたのが本作。明らかに「エイリアン」の世界観から遥かに壮大な話になってる。故に謎だらけ。かつそれがはっきりしないまま終わる。エンジニアとは何者なのか。一応ラストシーンでエイリアンっぽい生物が出てくるけど、それがエイリアンという個体の初めてなのか、そうではないのか。その答えすら提示されない。人類の起源もわからず。エンジニアの行動理由もわからない。そもそも地球に行って何をしようとしてたのか。地球に行ったエンジニアもいたのか。余白が多すぎてスッキリしない。けどそれこそSFの魅力でもある。自分で想像しながら物語を追っていける。一応続編の「エイリアン・コヴェナント」で補完もされるっぽいし楽しみ。

メインキャラたちのストーリーは陳腐な印象。えげつないぐらい死亡フラグ出すショーン・ハリスとか、結局見せ場なく下敷きになったシャーリーズ・セロンとか、大した掘り下げもなく人類のために宇宙船を突貫させてしまうイドリス・エルバとか、終始何かを企んでるけど結局よくわからんマイケル・ファスベンダーとか。テンポもすごい早くて、けど早いというより一回編集したあとカット数を無理矢理減らしたような、急なカット切り替えが多い。だからなんかダイジェストを見てるような気分になる。

エンジニアという人類と同じDNAを持つ高度な文明をもった生き物がいる。ただ彼らは既に滅んでしまっている。その原因かもしれない黒い液体状の兵器。それは生物のDNAを変化させて新しい生物を作ってしまう。その流れで生まれたのがエイリアン。こんな感じなんかな。なんでエンジニアと人類のDNAが一緒やったんやろう。エンジニアの生き残りが地球にやってきて、それが現在の人類に繋がってるんかな。

「エイリアン」の続編として観ると不満はあるやろうな。SFとして観たらワクワクする部分はたくさんある。けどそれ以上にわからんことが多すぎて、観たあとに疑問が残るし全然スッキリしない。ストーリーも無理矢理感あるし、キャラたちを上手く動かせてない感じもするし。ホラーの雰囲気は「エイリアン」以来といえどちゃんとドキドキした。SF好きやからギリ面白かったって言える。続編がすごい楽しみ。
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