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恋人たちの失われた革命のooospemのレビュー・感想・評価

恋人たちの失われた革命(2005年製作の映画)
4.5
こちらも「5月」映画。1968年、フィリップガレルは20代だったはず、映画を精力的に撮り始めたのは10代の頃だから、革命はこの180分の大作を撮るにはじゅうぶんな刺激だっただろう。ルイガレルを始めとした若者たちは、仲間たちと街に出て抵抗運動を起こしつつも、生活では厭世的な態度を一貫しており、それがなんだか反骨精神旺盛な若者たちのリアルをそのまんま写しとったようで、生々しくてぐいぐい惹き込まれた。彼らはある意味でこれ以上ないほど自然体で生きていた。ラフで、タフで、勉強熱心で。派手に表には出さないけど、皆自由と解放を心から欲していて。遊びもする、表現もする、背伸びしない。それがすごく魅力的だった。多分あの渦の中にいたら、部屋の中で何でも調べられる今の世と違って、それこそ街に出ることが世界に出ることであって、仲間との交流が何よりの刺激で人生そのもので、その中でどうにか良い方向へと押し出そうとする、そうなるんだと思う。その等身大さが、ある意味でグローバルでないということが、ものすごく楽しそうに見えた。得体の知れない若さゆえの気のはやり、それゆえの現実とのギャップやるせなさ倦怠、そう、そうなんだよ。いやそれこそ50年前の出来事をデジタル画面で観てるこの環境だからこそ言える感想なんだと思うけど。それが、どうしようもないことなんだけど。でもね人生20年そこそこの私たちが抱く、わけもない焦燥や反骨心や向こう見ずな衝動は、何年経ったって共通だと思うの。それをそのまんまリアルに焼き付けてくれたガレル親子には本当に、感謝や憧れを超えてシンパシーを感じる。感じさせてください。私たちは最高の年頃を生きてるのかな。
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