風に立つライオン

冒険者たちの風に立つライオンのレビュー・感想・評価

冒険者たち(1967年製作の映画)
3.7
 大昔に観た映画だが、その新鮮さは色褪せていない。
 1967年制作、ロベール・アンリコ監督によるフランス映画の秀作である。

 爆発を繰り返すロケットエンジン車の開発に余念のないリノ・バンチュラ演ずるローラン、
 騙されていることを知らずに複葉機でパリの凱旋門をくぐることに挑戦するアラン・ドロンことマヌー、
 売れない前衛芸術家のジョアナ・シムカスのレティシア、
 この渋系オヤジ+イケメン野郎+若き美女のユニットはその後の映画に多く使われるようになる。
 2年後の69年には「明日に向かって撃て」、77年「スターウォーズ」、88年「グラン・ブルー」、少し無理があるが「幸せの黄色いハンカチ」なども挙げられる。

 この映画には仕掛けがある。前半に3人のパリでの動きを追うが、雨、泥濘、曇天と都会の喧騒の中で何か湿気多くカビ臭さが漂い暗いトーンが続く。
 
 一転、アフリカのコンゴに画面が切り替わると青空に乾いた風、男二人の髭面とビキニが映える。
 後半の明るい開放感を強調しているのが分かる。
 そして沖にある要塞島(実際はフランスの大西洋岸のリゾート地ラ・ロシェロ沖にある人工島でナポレオンがイギリスからの防衛の為に建造したもの)を舞台に、クライマックスが訪れる。

 センチメンタルだが人々が追い求めて止まぬ冒険、夢、財宝、友情といったものを散りばめたこの映画はこの島を見てから制作を思いついたのではないかと思うほどである。

 そして3人がそれぞれ最も役者として旬で精彩を放っていた頃の映画であろう。