滝和也

モンパルナスの夜の滝和也のレビュー・感想・評価

モンパルナスの夜(1933年製作の映画)
3.9
フランスの誇る、
メグレ警視登場!
職人監督、
デュヴィヴィエが贈る
クラシックサスペンス。

「モンパルナスの夜」

クラシックの名作を久しぶりに。
30年前から、一度鑑賞したかったサスペンスの古典です(^^) ジョルジュ・シムノンの原作を改定し作られたシナリオを職人監督、ジュリアン・デュヴィヴィエが演出。時代からすると非常に工夫され、飽きない展開とカメラワークを用いたサイコサスペンスに仕上がっています。

富豪の老婦人が殺害された。指紋、ゲソ痕共に残り、犯人は直ぐに特定される。だがあからさま過ぎる証拠にメグレ警視は真犯人の存在を疑い、大胆な捜査に踏み切る…。

メグレ警視と言えば…名探偵コナンに登場する目暮さんの元ネタ(^^) 重厚かつ大胆に犯人を追い込んでいきます。対決シーンの表情が中々良い。演ずるハリー・ボールはイメージがびったりだそうで、コナンのキャラにも通じています。

ただこの作品、メグレより犯人が中々大胆で、強烈な印象。フーダニットではないため、早めに犯人は分かるのですが、現在で言うサイコ野郎。終盤の盛り上がりは、戦前の作品としてはMに勝るとも劣らない怪演です。

ジュリアン・デュヴィヴィエは戦前・戦後と活躍したフランスの職人。非常に叙情的な作品を残し、日本で人気のある方です。私も舞踏会の手帖やパリの空の下セーヌは流れるなど好きな監督さん。また演出もカメラワークが流麗で楽しませてくれます。更に哀愁を帯びた歌とサスペンスの対比が素晴らしいんです。他作で自殺への契約書等あり、非常に巧みさを持っていますので、ある種職人さんだなと感じますね。

ヌーヴェルバーグ辺りのフランス映画はどうも苦手なのですが、それ以前のフランス映画は好きなジャンルです。また見ていきたいと思います(^^)
滝和也

滝和也