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名探偵コナン 紺碧の棺のytのレビュー・感想・評価

名探偵コナン 紺碧の棺(2007年製作の映画)
3.0
シリーズ第11作目。ヒロインである毛利蘭とその友達の鈴木園子を”アン・ボニー”と”メアリ・リード”に準え、2人の友情を描いた作品。2,9作目同様の海を舞台に謎解きを絡めるといった大作臭は漂っているのに、裏切られた感が半端ない。第31回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞しているが、何故受賞したのかも理解しきれない作品だ。

[あらすじ]
→太平洋に浮かぶ神海島。古代遺跡が海底に眠るとされるその島には、300年前に女海賊が遺した財宝についての伝説があった。そんな中、財宝を探すトレジャー・ハンターが1人サメに襲われる。島に訪れていたコナンたちは、それは単なる事故では無いことに気づき……。

[レビュー]
・救いようがない評価通りの作品。シリーズでは初となる”島”を舞台に、海賊やお宝といった事柄を混ぜ合わせスケールは大きい。だが大きいだけ。途中には少年探偵団の謎解きなどミステリー要素は多少存在はするが、それでも薄い。伏線は少ないし、正直要らないシーンも多かった。近年のコナン映画はアクションにも盛大に大振っているため、返って有り得ないからこそ観れる作品も多いが、本作はギリ有り得そうで有り得ないシーンが多い。だからこそ、返って”有り得ない”が頭の中をよぎることが多かった。

・ストーリーも特に濃くも薄くもない展開。冒頭のカーチェイスで大作来たか!?と思いきや。とにかく間延びする話の展開に特に面白みもない犯人の動機。ラストの締め方や謎解きが真実へ近づいていく感じは観ていて面白かったけどね。あととにかく宿のおっちゃんが良い人すぎた。あの雨の中よく船出してくれたよ。

・山本監督の作品は、どうしても場所を限定する傾向にあるように感じる。航空機、豪華客船、遊園地、そして島。10作目以外はほぼその場所でコナンたちは行動するため、移動範囲だけでなくストーリーや推理の深みを浅くしてしまっているように感じる。もちろん、その場所ならではの展開を観ることが出来るのだが、ビタっとハマらない限りはこだま監督を必要とする人が居るのも無理はないだろう。

👉シリーズの中では批判的な意見が多い本作。確かに今までの作品と比べると劣る部分は多かった。だが、一つ一つのシーンで区切ると、意外にも美しいシーンは存在する。島と女海賊の伝説、この組み合わせに救われた作品とも言えるだろう。
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