アーリー

ザ・ロイヤル・テネンバウムズのアーリーのレビュー・感想・評価

4.5
2023.10.10

とある一家の再生を緩いコメディタッチで描いた作品。オーウェン・ウィルソンが共同脚本と出演。前作から引き続きビル・マーレイも出演。主演はジーン・ハックマン。

天才の子供達という要素は最新作「アステロイド・シティ」でもあった。その彼らがおとなになり、それぞれが苦悩を抱えた状況の中、7年間絶縁状態だった父親が帰ってくる。
 キャラクターたちの魅力が凄い。服装、生い立ち、秘めた恋。そして自分勝手な父親。彼のキャラがどうしても憎めない。結局どこか欠点のある人というのは、相対的に魅力的な部分があるんやろう。離婚、妻の死、養子の苦悩、姉への恋、浮気、リスカ、麻薬、愛犬の死。真面目にやったら重たい話になりそうやけど、この人にかかるとポップ。でも明るいだけじゃなくて、どこか少し切なさを感じさせるような雰囲気。笑い飛ばすだけじゃない。笑いながら黄昏れる感覚。気持ちの良い映画体験。

親に苦しめられた人たちが観るとどう思うんやろうか。古風で大学進学、就職は当たり前の考えの自分の父親と比べると、ロイヤルみたいな親父は自由にやらせてくれそうでちょっと羨ましくもある。無謀さを教えないといけないみたいなセリフがあったけど、そういうこと教えて欲しかったな。何するにしてもまず最悪の結果を考えるようになってしまった。それはそれで必要な能力なんやろうけど。ないものねだりなんかな。

部屋の中のテントでレコードを聴きながらするキスはどんな感覚やろう。おしゃれ。最後あたりのマーゴとリッチーが煙草を吸うシーンも好き。冒頭で行われる情報のインプットも好きやし、今回は演者たちの紹介カットがあってそれを観るだけである程度どんな人かわかるの凄い。こういうこのショット良いなって思える作品毎回作れる人なかなかおらんから、この監督にどんどんハマっていってるかも。
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