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ザ・ロイヤル・テネンバウムズのkuuのレビュー・感想・評価

3.7
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』
原題The Royal Tenenbaums.
製作年2001年。上映時間110分。

マーティン・スコセッシが『21世紀のスコセッシだ』と宣言したウェス・アンダーソン監督の長編第3作。
オーソン・ウェルズなどの古典映画やポップ音楽の引用ぶり、凝った小道具使い、ナイスなギャグなど見所満載の米国産作品。

テネンバウム家の3人の子どもたちは皆若くして成功した天才児。
長男のチャスは10代で不動産売買に精通し、国際金融にも才能を発揮する。長女マーゴは12歳で劇作家デビュー。次男リッチーもまたテニスのジュニア選手権3連覇で将来を嘱望されていた。
しかし、父ちゃんの過ちと裏切りにより一家は崩壊を始めちまう。
チャスは飛行機事故で妻を失い、男手ひとつで二人の息子を育て、マーゴは年上の男と結婚の末無気力な毎日を送り、次男も突然テニス界を引退、船旅に出てしまう。
そんな彼らと再び家族の絆を取り戻したいと考えた父ちゃんは一計を案じるのだったが。。。

今作品の家族より不自由な家族がいると云えるかなぁ。
天才と呼ばれる人たちでさえ、どの家族も機能不全に陥っている。
車や衣装からして、もっと前の時代のような気がするが、また、ニューヨークの話かと思ったが、ブロンクスで起こる話なんやろな。
舞台にはなっているのかもしれないが、想像していたブロンクスとは違う。
この映画のブロンクス表現は、テネンバウム家のようなエリートインテリも住める、プライドが持てる場所。
にもかかわらず、今作品ではニューヨークとは一切云わへんが、そこは大きな不可解さです。
扨、この機能不全家族の父ちゃんを演じたジーン・ハックマンは、アカデミー賞にノミネートされるにふさわしい演技をしていると思いました。
アンジェリカ・ヒューストンは、普段は強いイメージやけど、今作品ではエセリンと同様に弱々しく、かつ強い印象を受けたかな。
ベン・スティラーは、コメディーだけでなく、演技もできることを証明した時期なんかな、とても好感が持てました。
グウィネス・パルトロウが、鬱屈としたプライベートな時間を過ごし、クローゼットでタバコを吸うマーゴットを演じているのには驚いたかな。
そもそも、なぜ彼女がこの家族の養女になったのかが分からない。
彼らには2人の息子がいる。
飛行機事故で奥さんを亡くし、恐怖に怯えるベンのキャラ。
オーウェン・ウィルソンのキャラは弟で、テニスプレイヤーの燃え尽き症候群。
ダドリーは彼の息子なのか、それなら納得できる。
エセリンを愛した男役のダニー・グローバーは良かった。
今作品で異人種間の恋愛が普通に描かれているのは嬉しいかな。
最後には、この登場人物に悲しくなってしまう。
今作品は、中盤に少しテンポが悪くなるけど、全体的には安定して速いかったんやけど、上映時間が少し長すぎる感は否めない。
ただ、気まぐれで、面白くて、感動的なストーリー、素晴らしい演技、そして素晴らしい結末にはとても好感は持てた作品でした。
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