よしまる

フォート・サガンのよしまるのレビュー・感想・評価

フォート・サガン(1984年製作の映画)
2.7
毎日22時頃に帰宅して寝るまでの2〜3時間の間に飯食って風呂入ってなんならブログも書いてという中、仕事のストレスをやり過ごすために映画という旅に出ては帰ってくる毎日なわけなのだけれど、そんなわけだからなかなか3時間超えの長尺に挑む機会を得られない。週一の休みに観ればいいじゃないと思う節もなきにしもあらずながらお休みには劇場へ足を運びたいし、何より昼間から長尺チャレンジなどほぼ睡眠導入剤と同義である。

と、日々の暮らしぶりを垣間見ていただいたうえで「フォートサガン」という185分の映画を夜中までかかって無事に観終わったことをまずは褒めてほしいw

フランス版アラビアのロレンスとも言われる大河ドラマ。1人の男と2人の女性が戦争の渦にあんまり巻き込まれず(巻き込まれないのかい)、言うほど時代に翻弄されず(されんのかい)、ただ生きたいように生きたという話(なんだそれ)。
そうは言っても海外では評価も高いようで、歴史に疎いことも手伝って日本人の自分には分かりにくい軍人としての誇りのようなものに輝きがあるのかもしれない。

しかしわからないものは仕方がない、自分なりの楽しみ方で3時間を乗り切ることにした。

まず最初の1時間は、ラクダ🐪の生態ドキュメンタリーを楽しもう。砂漠で上司から執拗にイジメに遭う主人公。そして主人公以上に主人公らしいカリスマ性溢れるアフリカ人。それらの心の交流よりも、つらい砂漠の旅を文句も言わず懸命に歩くラクダたちの一挙手一投足を愛でよう。

次の1時間、これまた完全に主役を食ってしまう存在感のカトリーヌドヌーブの出番だ。お歳を召しても麗しい美貌と変わらぬツンデレっぷりがすごい。ドヌーブファンなら大満足な映画に違いない。

そして最後の1時間、物語を楽しむならここだけでじゅうぶん面白い。アフリカ侵略におけるオマールとの決死の戦いから、「1917」でも有名になったWWⅠの過酷な塹壕戦まで、なかなかの迫力で映画ならではのダイナミックなシーンが楽しめる。そのうえ脱アイドルへの過渡期だったソフィーマルソーが、水戸黄門の由美かおるのようにまったく必然性のないヌードを披露する。
そんなオマケもありつつ、最後に観終わったときの達成感はなかなかのものだ。
なにしろ主人公の行く末を見るにつけ、やっとエンディングが近づいた!という感慨の方が大きいのである。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

これは主役のジェラール・ドパルデューのなんだろうか、演技とか出で立ちとかそういう問題ではなくて、自分の生き様を貫く姿に共感させてくれなかった脚本のせい。強い意志を持って進むことと人の心を掴むことの両立はかくも難しいものかと考えさせられた。

それにしても。結構有名な作品だと思ってたはずなのだけれど、フィルマのマーク数が30台でジャケ写もないとはトホホすぎる。