MasaichiYaguchi

アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たちのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.2
本来、結婚式というものは、親族や友人、知人が一同に介して、新たに人生をスタートする2人を祝福する為のものだ。
この作品では、この結婚式前後の日々に起こった騒動を通して、或る家族の肖像を綺麗事なしに、あけすけに描いていく。
幼い子供の時に別れた息子の結婚式に出席する為、久々に実家に帰ったリン一家は、様々な問題を抱えている。
息子の一人はジャンキー、もう1人の息子は自閉症、実家の父は認知症、母は父の看病で神経衰弱と、正に満身創痍のボロボロ状態の家族。
そこに元夫の家族達も合流して、結婚式も間近だというのに、益々事態は混乱し険悪に、今にも一触即発の状況になる。
リンの子供達、特にジャンキーのエリオットと、自傷行為を繰り返すアリスを見ていると、作家・太宰治を思い浮かべる。
純粋で繊細だから傷つき易く、闇の中で光を求め、誰かしらに助けてもらいたがっている愛を乞う人。
この作品には、予定調和もご都合主義もない。
果たして恙無く結婚式は執り行われたのか?
この「晴れの日に」何が起こったのかは、本作を観て下さい。
映画で描かれたこの家族は極端な「例」かもしれないが、一見波風の無い平和そうな家族にも、この一家が抱えている悩みの一つや二つはあるような気がする。