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砦の29人のlemmonのレビュー・感想・評価

砦の29人(1966年製作の映画)
3.7
西部劇がここまでたどり着いたかと見ると感慨深い。

全体的には散漫な部分はあるが、主要となる登場人物に対しては丁寧に敬意を評して演出しているように感じた。

先住民族との争いも、その意味が誰しもがわからなくなっているのではないのだろうか。意地と意地とがぶつかり、やられたらやり返すの繰り返し。被害者は力のないものばかり。

本作は多種多様な登場人物がいて、良くも悪くも奥深く不明瞭。
先住民族が妻である偵察兵、先住民族に連れ去られた過去があるヒロインとその夫、先住民族の長、偵察兵と縁深い進撃隊の少尉。

そして一番意味不明な黒人ガンマン。ただここにも何か監督の意図を感じる。これまでの西部劇で描かれていたものを、嘲笑うかのように、当然のように存在する彼の存在は、何が事実かを自分たちで考えろと言われているようだった。彼に対して何も言及していないのも逆に面白い。


西部劇は見る前から億劫な気持ちになることが多い。先住民族の扱い、女性蔑視、と米国の黒歴史であるが映画内の男どもはひたすらにカッコつけて粋さを出す。

ただ、他人同士がひとつの目的に向かう団結力を描いた「駅馬車」、家庭・強盗とそれぞれの男の立場から奇妙な友情を描いた「決断の3時10分」、突然現れたガンマンを絡めた家族の危機・団結を描いた「シェーン」など大好きな作品もある。

初めから観ないのも選択肢としてあるが、クラシック映画が好きになった以上、向き合っていきたいと思った。本作観て改めて勝手に感じた。

と、言いつつ戦争ものは避け気味、、、
諸悪の根源はジョンウェイン作だったりもするのだが😅
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