真鍋新一

嵐を呼ぶ友情の真鍋新一のレビュー・感想・評価

嵐を呼ぶ友情(1959年製作の映画)
4.0
井上梅次監督の面目躍如。
小林旭の役名がアキラで、白木マリの役名がマリコ。スターのスターらしさを活かし、観客を映画の世界に引きつけていくテクニックを今回も存分に楽しんだ。いつもみずぼらしい役どころが多いイメージの宇野重吉がイカした老トランぺッターを演じるキャスティングの意外性も良い。

そしてなんと、当時はまだジャズ・ポピュラー色の強かった『ミュージック・ライフ』誌が実名で登場。金子信雄演じる編集長の役はつまり、草野昌一こと漣健児がモデルということか!? 敵にも味方にもなる評論家の役だった『嵐を呼ぶ男』と違って、今回は損得勘定抜きに物語に貢献してくれる。見ていくうちに、実は旧友同士のおじさんが話の中心になってくるので、青春ドラマを期待した人は物足りなさを感じるかもしれないが、これはこれで深みがあって良い話。『嵐を呼ぶ男』に続いてダンサーを演じる白木マリは「バナナ・ボート」のセクシー歌手・浜村美智子と姉妹役。役割的には『嵐を呼ぶ男』の焼き直し感が強いが、似合う役は何度演じさせても最高なんだ、という井上監督のポリシーが感じられて良い。それにしても歌手やミュージシャンはどうしてこう演技の達者な人が多いんだろう。
真鍋新一

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