櫻イミト

ラヴ・パレイドの櫻イミトのレビュー・感想・評価

ラヴ・パレイド(1929年製作の映画)
3.0
ルビッチ監督の初トーキー作品。セリフが歌になるという現在に続く手法(シネ・オペレッタ)を誕生させたラブコメ・ミュージカル。映画評論家・双葉十三郎さんがオールタイムベスト10の1本に挙げている。”ラブ・パレイド”とは劇中歌の歌詞。

パリに駐在していたルナール伯爵は、女性問題が多すぎて祖国シルバニア(架空国)に呼び戻される。釈明のためにルイーズ女王陛下のもとを訪ねるが、2人は恋に落ちて結婚することに。しかし女王の夫という何の権限もない立場にルナールは次第にストレスを抱えていく。。。

日本では制作翌年の1930年(昭和5年)公開。歌の終わりにペットたちも合唱し始めたり、二人の出会いとラストに同様の台詞の切り返しを用いたりと、細やかに洒落た演出が行き届いていてとても完成度が高いと思う(コメディが苦手なのでレビューはこの辺りでパス)。本作の華やかな楽しさに触れた昭和初期の日本の観客に思いを馳せる。

※同年に世界初の全編トーキーによるミュージカル映画「ブロードウェイ・メロディー」が公開。

※ミュージカル映画のエポックメイキングとされる「四十二番街」(1933)は本作の4年後の公開。
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