いけ

シヴィリゼーションのいけのレビュー・感想・評価

シヴィリゼーション(1916年製作の映画)
4.0
内容的には(問題はありつつも『國民の創生』との比較において)現代にも通じる倫理観でありながら、戦闘シーンなどにおいて、そのスペクタクル性が前面に出ているバランスが映画史の結節点として面白い。砂埃や煙をふんだんに使い、戦闘シーンや俯瞰気味のショットの興奮はグリフィスに勝っていた。

一方で、市井の人々の顔のアップや子供の姿を撮り、物語に組み込み、焦点化する様なども感動的である。

さらに二重写しなどの手法を話法に取り込み、見事に作用している。(牢屋に穴が空いて戦場に赴くショットや神の乗り移り)

逆光にシルエットが映る姿などはドイツ表現主義的であるとも言えるだろう。

グリフィスが初期映画から古典的ハリウッドへの橋渡し役であるとすれば、この映画が橋を架けた初期映画からの発展はより広範囲に及んでいる。
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