ゴン吉

お早ようのゴン吉のレビュー・感想・評価

お早よう(1959年製作の映画)
4.0
子供たちを主人公に庶民の暮らしを生き生きと描いたヒューマンドラマ。
笠智衆、三宅邦子、設楽幸嗣、島津雅彦らが共演。
小津安二郎監督の第50作目の作品で脚本も担当。
今月は日本映画界を代表する巨匠の小津安二郎の生誕120年、没後60年の月。  

中学生の実(設楽幸嗣)と小学生の弟の勇(島津雅彦)は大の仲良し。二人は学校から帰ると近所の知り合いのところに英語の勉強をしにいくとみせかけて、別の家にテレビを観に行っていた。ある日、父親(笠智衆)にそのことを叱られて口答えをすると、父親から「黙っていろ」と怒られる。テレビを観たい兄弟は反抗心からそれ以来、家族はもとより近所の人や学校でも黙って口を利かないようになる…

「おはよう」と挨拶を交わす時、この言葉自体にはほとんど意味をなさない”無駄”な単語ではあるが、コミュニケーションのための音声としてはとても大切である。
そんな”無駄”の重要性をコミカルに描いた作品。
テレビがまだ一般家庭には一家に一台無く、テレビを観るために他人の家に行っていた時代が舞台。
生活用品も近所から貸し借りして助け合って生活しているのが何とも言えない。
それ故に主婦の間では変な噂が流れたりと近所付き合いも大変。
お揃いのセーターを着た仲良しの兄弟が可愛らしく、子供ならではの無言による親への反抗が微笑ましい。
そんな当時の世相を反映したほのぼのとした世界観が味わえます。
「アイ ラブ ユー!」  

2023.12 NHK BSPで鑑賞(デジタル修復版)
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