モモモ

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーのモモモのレビュー・感想・評価

4.3
リバイバルブームの恩恵でいつかは大きなスクリーンで観れるだろうとは思っていたけど、もう観れてしまうとは。しかも夏真っ只中に。
初鑑賞時はそんな事考えもしなかったが、映画が始まってからずーっと押井守作品。
戦車が出てきて、現実と虚構が曖昧で、登場人物は饒舌な語りを披露し続ける。
綺麗な三幕目の最後で「うる星やつら」として着地して見せる不思議な「原作付き作家性爆発映画」な一本。
普遍的な「いつまでも続けば良いと願う青春の1日」である「学園祭前夜」が永遠に繰り返されている…と言う気付きと対処法への対処により「空間そのもの」が変異する一幕目。
学校のみならず街そのものが変貌し「ポストアポカリプス的世界で友人・家族との都合が良過ぎる楽しいサバイバル生活」と作品の種明かしを済ませる二幕目。
これまで物語上の部外者に徹していた主人公が「夢オチ」に挑み「うる星やつら」の本質に切り込む三幕目。
変貌する校舎も、荒廃した街も、夢オチラッシュも、作家の好みに満ち溢れている。
それでいて最後にはラブコメにちゃんと着地してみせるのだから、改めて押井守の手腕にひれ伏す他ない。
会話劇としても魅力的で耳を通り過ぎていく小気味で調子の良い単語の数々が心地良い。
ゴジラにX星人にウルトラマンにカネゴンにバルタン星人に、お祭り映画とはこの事です。
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