カトキチ

ウェイキング・ライフのカトキチのレビュー・感想・評価

ウェイキング・ライフ(2001年製作の映画)
5.0
『マトリックス』をはじめて観たとき「コンピューターに支配された世界で人間は機械に夢を見させられてるっていう設定だけど、別に悪夢ってわけでもないし、そのまま目覚めなくてもよくね?」と思ったのだが、この映画はマジでそこそこの日常の延長線上にある夢から延々覚めないという内容で、キャラクターたちはその夢のなかでゴダールやタルコフスキー、押井守がよくやる哲学的な長台詞を放ち続ける。

絵にかいたような実験作でありながらも、何気にしっかりと表現方法と内容がマッチ。妄想癖があり、放たれた言葉が実在するものとは別に観念として存在し始めるという現象に興味があるぼくにとって何もかもが完璧な作品だった。これが普通に実写で撮られた作品ならばこうはならなかっただろう。

後半、フィリップ・K・ディックに関する話が出てくるが、この演出方法をそのまんま使って『スキャナー・ダークリー』の制作に向かうのが興味深い。
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