爆裂BOX

顔のない悪魔の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

顔のない悪魔(1958年製作の映画)
3.7
片田舎にある空軍基地周辺で奇妙な殺人事件が続発する。検視の結果、死体から脳と脊髄が消えていることが判明し、カミングス少佐が調査を開始するが…というストーリー。
脳味噌モンスターで有名な50年代のモンスターパニック映画です。
飛行機の騒音やレーダーに使っている原子炉のおかげで、周辺住民は空軍基地に反感を抱いており、捜査は難航。それどころか原子炉からの放射線で死んでいると誤解され、犠牲者が増え続けたために住民との対立は深刻化。そんな中、カミングスは町外れに研究所を構えるウォルゲート教授の事を知り、彼が事件に関わっているのではないかと疑う、という内容です。
本作のモンスターはウォルゲート教授が「思考を肉体から切り離して物理化することでテレパシーは可能になる」という結論を実証する為、開発された装置で切り離され、自我に目覚めた思考が物理化したものですが、前半は不可視化して目に見えず、犠牲者役の役者さんが襲われてる一人芝居をしてますが、結構迫真の演技なのでシラケる事無く見れます。現れるときの心臓の鼓動の様な音が響き、這いずるような音がするのも雰囲気を盛り上げてくれます。
ストーリーは、主人公カミングスの殺人事件の捜査と続発する殺人事件は空軍基地に原因があるに違いないと考える周辺住民の対立が軸となって進んでいきます。その中で一人目の犠牲者の妹であり教授の助手をしているヒロインと主人公の恋愛も織り交ぜていきます。ヒロインお人形みたいな美人さんですな。
後半、原子炉が臨界に達し、強烈なエネルギーを得て怪物が可視化しますが、脊髄付きの脳味噌に触手が生えたグロテスクな容貌はインパクト抜群です。ストップモーションアニメで描かれる、脊髄尺取り虫みたいに動かしながら地面や木々を這い回り、森に集う姿やピョーンと飛び掛かってくる姿も悪夢のようなインパクトありますね。脳味噌モンスターが銃で撃たれる度に脳漿飛び散らせて血をドロドロ流したり、斧で叩き潰される姿はモノクロでも今見ても割とグロくて、この当時はかなり衝撃的だったでしょうし、規制入ったり上映されなかった所あるのも頷けますね。このモンスターに主要登場人物が集まった家が取り囲まれて籠城戦に突入する所はちょっと盛り上がりました。
主人公が事態を止める為に駆けつけた原発に死体がごろごろ転がってる光景も印象に残りましたね。町の方は描かれなかったけど、あっちも犠牲者かなり出てそう。
ラストの解決方法はかなり強引というかやっつけというか、確実に脳味噌モンスターよりも甚大な被害出そうなもので、主人公も確実に被ばくしてそうだけど、普通にハッピーエンドな感じで終わったのがなんともはやこの年代の映画らしいというか。ただ、脳味噌モンスターがドロドロ溶けていくシーンも中々にグロくてそこは良かったですね。
とにかく後半に姿を現す脳味噌モンスターは、インパクト抜群のその容貌とグロい倒され方はモンスター映画ファンなら一見の価値ありの作品でした。