たにたに

ロリータのたにたにのレビュー・感想・評価

ロリータ(1962年製作の映画)
3.8
【親心を利用した、娘への性欲】2023年49本目

下宿先の魅力的な10代の娘に心を奪われる中年男ハンバートの末路。
可愛いを通り越した、"好き"という感情が、男の独占欲を駆り立てていく。

娘の母親からの執拗な好意を適当にあしらい利用することで娘に近づき、嫌われないようあくまでも父親としての一面を欲に変えていく。

作家であるハンバートが綴る彼女への愛の日記を妻に見られたその瞬間。妻は裏切りに心を痛ませ家を飛び出す。
彼は、自分の人生の好転ぶりに期待した。
これで邪魔者はいなくなった。と。

娘は母の死に深く悲しみ、頼れるのは父のハンバートしかいなかった。
しかし、ハンバートの愛は彼女にとって過保護でしかなく、2人の心の距離は開いていく。

主人公ハンバート・ハンバートが、劇作家の男の家を訪れ殺害するシーンから始まる今作は、異質な恋愛感情の行く先を気持ち悪くもミステリアスに描いている。

ヘイズコードによって、控えめに抑えられた性欲表現もまた、今作ではある意味嫌悪感を抱かず観れた点で好都合だったかもしれない。しかし、この題材を映像化したキューブリックの挑戦的な部分は見逃せない。
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