【『灼熱』と比べると、、、】
キューバに行くぜ!と語ったら、映画仲間が、「こんなキューバ映画を知ってるかい?」と貸してくれた。
キューバ史を3つのポイントで描いたオムニバス映画だ。全て、ルシアという女性の立場から描かれている。時間も160分と超大作だ。
うーむ。この手の話は何年か前にクロアチア映画『灼熱』で衝撃を受けていただけに、構成の下手さが目立つ。
第一部で、激しい戦争描写、キューバ創世記の激動を《狂女》にメタファーとして背負わせる描写こそ、1960年代後半の抑圧、波乱、革命の時代ならではの力を感じたのだが、第二部、第三部でトーンダウン。あれだけキレッキレのショットも希薄となり、この断絶によってメッセージ性や軸がぶれてしまっている。オムニバス映画としては致命的な、「1本で十分ですよ」感が否めない作品だった。
ただ、それでも第一部は、まるでアンジェイ・ズラウスキーのような観客の魂まで奪う魅力に溢れていた。キューバ史を勉強しないとわかりにくい部分はあれど、第一部、第一部だけは必見だ!