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地上より永遠にのmichiのレビュー・感想・評価

地上より永遠に(1953年製作の映画)
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軍には上司の妻と不倫する人、商売の女性と本気の恋に落ちる人、暴力沙汰を起こす人、部下を虐めることに躍起になる人…いろんな人がいました。規律で統制されているように見えて、実際は閉鎖的な人間の集まりだからいろんなことが起こっていたんでしょうね。タブーだったであろう当時の軍の裏側が見られておもしろいです。個人的な好みとしては『ローマの休日』には敵わんだろう…と思うけど、赤狩り真っ盛りの時代に軍の都合の悪い面まで描いたのはアカデミー賞に値するセンセーショナルさだったんだと思います。

マジオを思いながらプルーイットがラッパを吹くところは、本当に悲しい。
フランク・シナトラ演じる明るいのにいつでも闇落ちできそうなマジオが結構よかった。

豪華なキャストで、それぞれのキャラクターに強いエピソードがあるので、話があちこちに行きがちでしたが、それがかえって効果的だったようにも思います。いざ戦争が始まった途端、一人一人が抱えるトラブルとか葛藤とか、そんなものはどうでもいい問題になって、人生が軽々しく壊される何とも言えない虚しさが残った。
プルーイットは堅物さが災いして最悪の結末に終わってしまったけれど、あの場をうまく切り抜けたところで明るい未来はないだろうし、あれが運命だったのかな。
彼をよく理解してくれる上官に恵まれたことがせめてもの救い。グイグイ不倫したり、ものすごいリーダーシップで兵士に指示を飛ばしたりと忙しい曹長だったけど、バート・ランカスターの魅力もあって、よくできた人だったなー。
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