くりふ

夜の豹のくりふのレビュー・感想・評価

夜の豹(1957年製作の映画)
3.0
【リタの落日】

レンタルにて。きっかけは少し前、フィルムセンターで見たミュージカルポスター展で、本作のそれが艶っぽくてすごくよかったから。

この時期だと、リタ・ヘイワースはかなり劣化しているだろうな…でもキム・ノヴァクと共演って珍しい…とみ始めたら、まあ完全に、フランク・シナトラの映画でした。

が、彼のファンなら彼を堪能できるでしょうが、そうでない人が本作の彼を好きになれるとはどうも、思えなかった。

ヤリチンのクラブ歌手。知り合う女を皆、やっちゃう。これがあまりにバカバカしい。シナトラもそうだが、そんな彼に靡く女も皆バカに見えてただ、呆れる。

リタさんは、まず何故この役を引き受けたのか謎。まったくの悪役だけど、惹きつける悪女ではなく、最後までいやな女。それこそ演技派だったら人間的な魅力で惹いたのでしょうが、彼女ではそうはいかない。

なんだか、見事にパサパサでマネキンみたいなおばさんになったなあ…とある意味、感無量でした。

キムさんはちょうど、『めまい』直前ですね。まずクラブの踊り子の一人で登場しますが、貫録あり過ぎて似合わない(笑)。

ソロで“マイ・ファニー・ヴァレンタイン”を歌う舞台はアンニュイエロスで見事嵌りますが、歌は吹き替えだし、アンニュイにくねるだけなので、芸を見せてもらった気がしませんでした。

ジョージ・シドニー監督はそつなくまとめていますが、私には肝心の役者さんに接点を持てる人がおらず、残念な作品となってしまいました。

<2015.7.13記>
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