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スノーホワイトのharuのレビュー・感想・評価

スノーホワイト(1997年製作の映画)
4.0
継母の事情。

ホフマン男爵の後妻として嫁いだ若く美しい女性クラウディアは、当初は新しい生活に対して期待に胸を膨らませていた。ところが継子のリリーは反抗的で、なかなか子宝にも恵まれない。9年後やっとの思いで授かった息子が死産すると、彼女のメンタルは崩壊。その憎しみは美しく成長したリリーに向けられる。

シガニー・ウィーバー主演の97年版「白雪姫」です。大筋は同じですが、継母視点が挿入されることで印象が変わります。黒檀のように黒い髪、雪のように白い肌、血のように紅い唇、と三拍子揃ったスーパーヒロイン「白雪姫」に嫉妬する継母ことクラウディアは、ヴィランではありますが、彼女は最初から悪人ではありませんでした。
異国から嫁いできて完全アウェーなクラウディアは最初こそ大事にされていたものの、次第に夫の愛が薄れていくのを感じていた。鏡を見るたび失われていく若さと美しさ。一方継子のリリーは美しさに磨きをかけ、気づけば前妻そっくりになっていた。リリーを自分の娘と思い、自分が若い頃に着ていたドレスを譲ったら「ナニコレ、クソダサイ!」と拒否され、パーティーには前妻のドレス着用で登場する義娘。そしてそれを絶賛する夫。これクラウディア目線で見たら、ただの地獄じゃねぇか!もうちょっと気使えよ、そこの親子!
ということで「白雪姫」を継母サイドで見てみると、すごい哀しい話になってしまいました。おかげでお馴染みの毒リンゴのシーンでは、「知らない人からもらったものを秒で食べる方がバカ」と思ってしまう…!しかしリリー役のモニカ・キーナが「パーフェクト白雪姫」だし、何よりクラウディア役のシガニー・ウィーバーの狂いっぷりが「パーフェクト魔女」なので、数多ある「白雪姫」の中でも最高にダークで、おもしろかったです。
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