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灼熱の肌のpikaのレビュー・感想・評価

灼熱の肌(2011年製作の映画)
4.0
なんだかよくわからないけどとにかく好き。煽るような音楽効果や演劇的な過剰さがなく終始淡々と生々しい人間らしさを滲ませる。ドライな画面に湿度を生む演出が憎たらしいほど心地よく、愛という言葉を盾に不貞や政治観を自己肯定するキャラクター達の愛おしさたるや、愛さずにはいられない。

愛や夢などの理想の完璧さと相反する人間の愚かさは、完璧でないから永遠の命題として存在し続けているかのようで、自己の欲求の上に存在している理想の前に抑制できない他者という存在は、必要であるがゆえにコントロールできないという無常感を生む。

正反対とも言える二組のカップルが出会い、互いの存在を意識しながら羨み、鏡のように男女の愛というものを垣間見ることで気づき、一歩先へ進む。愛の形の違いで全く異なるものを失い、手にするその対比が面白い。
モーリス・ガレルのぶっ飛んだシークエンスの描写や、たっぷり時間をつかって魅せるダンスシーンの魅力などの独特なセンスにコロッとやられました。ちょう好き!
あのダンスシーンの曲、CD買いたいくらいツボなんだけどなんていうバンドなのだろうか。。
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