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王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件のバナバナのレビュー・感想・評価

4.0
ディー・レンチェは本当は判事ではなく、則天武后がまだ皇后で垂簾政治を行っている頃に見出され、後に宰相まで上り詰めた実在の人物。
則天武后は自分が成り上がり者だったので、低い身分の者から有能な人材を登用することが上手く、ディー・レンチェからの苦言だけは大人しく聴いたという。
則天武后は、王朝の中の権力争いではゴタゴタしていたが、彼女の市政は歴代の唐の皇帝の中でも2番に入る程落ち着いていたのは、
ディー・レンチェを始めとする優秀な高官が多かった為だと言われている。

しかし、本作の中では最初、則天武后とディー・レンチェは昔敵対関係だったというところから始まっている。
唐では、もうすぐ武皇后が女性で初めて皇帝に即位する儀式の準備に追われていたのだが、高官がいきなり人体発火して亡くなる事件が相次ぎ、
優秀だったディーがその犯人を捜す為に、判事に戻される事になったのだ。

この人体発火って『炎炎ノ消防隊』のパクリかと思ったが、この映画の方が早かったのね。
しかし、『HUNTER&HUNTER』でキルアの兄ちゃんがやっていたのと同じ変装術が出てきますw。

ディーの捜査チームは、敵対する則天武后の右腕の女剣士チンアルと、アルビノの警察長官(?)ドンライの3人。
3人それぞれ自分の矜持や思惑があり、不協和音の空気が流れながらも、結果的に協力していく様子も面白いし、剣術の型もかっこいいし、アクションそのものも工夫されている。
敵のカラクリ鎧武者なんかは『仮面の忍者赤影』に出てきそうだし、
歴史アクション物としてかなり面白かったです。

P.S.原作はなんと、ロバート・ファン・ヒューリックという、外交官でもあり、東洋学者であり、推理作家でもあったオランダ人が書いた小説だそうです。
15か国語が出来るファン・ヒューリックは、彼自身でディー判事シリーズの中国語訳をしたのだそう。
そして戦後、在日オランダ大使として日本に駐在していた頃は、江戸川乱歩とも交流があったんですって。
こういう天才が日本にも来てたんだ。凄い人が居たもんですね。

<2022/11月追記>
Filmaksによると「王朝の陰謀」むっちゃシリーズになってますやん。
でも評価が低いから、他のはあんまりなのかな。
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