どど丼

バリエラのどど丼のレビュー・感想・評価

バリエラ(1966年製作の映画)
4.3
「EO」スコリモフスキ監督の長編3作目。大金を手にし念願のサーベルを手に入れた男子学生が、とある女性との出会いを機に、様々な出来事に直面する話。監督の来日トークによると、本作の製作前に動いていた同氏脚本による別の映画PJが破綻し、1/3〜1/2程度残ったバジェットで急遽作った作品とのこと。それでこのクオリティ、化け物。

頭から尻まで抽象と具体の狭間を突き進むので、今映し出されている状況が主人公が実際に体験している出来事なのか妄想の具象化なのか全然分からない。明らかなのは、本作がソ連影響下の1960年代のポーランドで撮られた事からも分かるように、社会主義/全体主義に支配された世界とそれに対する批判と抵抗を投影していること。同じような身なりをした人間が同じような動きをし、その中で一人争うように行動したり時に流されたり……みたいな表現は特に分かりやすく、かつなかなかのホラー。解釈困難なシーンも多いので、監督の副音声付きとかで観たいな笑。理解しきれずとも、低予算ながら奇抜な演出とストーリーテリングはカルト映画好きとしては堪らなかった。
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