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砂漠のライオンのJeffreyのレビュー・感想・評価

砂漠のライオン(1981年製作の映画)
2.8
「砂漠のライオン」

冒頭、1929年ファシズムを推し進めるイタリア。ムッソリーニ、遊牧民、夜明けの砂漠に太陽が昇る。大自然と羊の群れ、独裁時代、非武装の村、侵攻、報復、ゲリラ奇襲、収容所、大量処刑。今、壮大なスペクタクル史実が写し出される…本作はムスタファ・アッカド監督が1981年に米国とリビアで合作した映画で、この度BDが発売され初鑑賞したが壮大なスケールの映画である。上映時間も3時間近い。どうやら日本公開版の時は163分だったそうで、海外版を173分で今回のソフトには海外版の尺の長さが入っていた。この作品はイタリア植民地、リビアの歴史を踏まえてから鑑賞しないと本来の楽しみ方がよくわからない。この映画はどうやら時のイタリア首相であったジュリオ・アンドレオッティがイタリア軍の名誉を傷つけると言う事でイタリア公開の上映を禁止したと言う逸話が残っている。

今回のBDには月曜ロードショー(TBS)の日本語吹き替えも収録されており、ファンにとっては待望の仕様だろう。本作は第二次大戦以前のリビア。ローマ帝国再建の野望に燃えるムッソリーニは、圧政に抵抗する遊牧民反乱軍に業を煮やし、彼らを率いているのが砂漠のライオンの名を持つ勇者なる戦士が戦車や飛行機など近代兵器で武装したイタリア軍に立ち向かう血で血を洗う戦いが、迫力満点の戦闘シーンで描かれる歴史スペクタクル共編として有名な1本である。

さて、物語は1929年。ファシズムを推し進めるムッソリーニは、北アフリカで遊牧民を率いて徹底抗戦の構えを見せる反乱軍のリーダー、オマー・ムクターを制圧すべく将軍グラッツィアーニを派遣。ゲリラの奇襲の報復として非武装の村人やその住処を焼き払いイタリア軍の侵攻は過激さを増していく。罪もない一般人が収容所とは名ばかりの劣悪なキャンプに捉えられ罪人として大量処刑が進められる。家族を殺された女たちも収容され、ムクターが手をかけていた母子も明日をもしれぬ日々を過ごす。1人また1人と物語を彩る勇士たちが命を落としていく…と簡単に説明するとこんな感じで、勝利か死か…を描き、灼熱の砂漠に吠えた悲しみのライオン。そして民族の誇りをかけた砂漠の攻防8000日を見事に描いた第二次世界以前のリビアを舞台にとんでもないスケールで描かれた戦争ムービーである。
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