ピュンピュン丸

アキハバラ@DEEPのピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

アキハバラ@DEEP(2006年製作の映画)
3.0
これ、俺の心の琴線に触れる物がいっぱい詰まっていてヨカッタ!!そして10年前の映画なのにタイムリーな作品だった。

今話題沸騰の「成宮寛貴」主演。原作は『池袋ウェストゲートパーク』の石田衣良。
秋葉原を愛する6人のドロップアウト組の若者たちがAI搭載の画期的な検索エンジン『クルーク』を作り上げ、既にIT業界の覇者となった大企業「デジタル・キャピタル」に立ち向かうという話。これ10年前の映画であるにもかかわらず、最近鑑賞した『エクス・マキナ』のエヴァの人工知能が検索エンジンをベースにしているのに見事につながり、自分にとってタイムリーだった。

でもそういうことより、映画に映し出される「10年前の秋葉原の風景」に興奮冷めやらず。今はなくなった家電屋さんとか、今もあるのかわからないが、マニアックなラジオ部品を売るお店の数々、秋葉原にしかないような自販機などなど。そして、映画の中に突然流れる「デンキいろいろ秋葉原〜♩」のBGM。心の中で、「オノデン!!」と叫び、頭の中に「オノデン坊や」が踊っていた〜。♪( ´▽`)

それから、ガンダム、鉄人28号、タイガーマスク等々の大きなフィギュアが「デジタル・キャピタル」のCEOの部屋にごろごろ。心が躍る。

6名の結びつきは、ある悩み相談のサイト。そのサイトに救われていた6名の若者は、その主催者の死後も自分たちの力でそのサイトを続けようとする。生前の主催者の膨大なQ&Aのデータをもとに、コンピュータにその主催者の代わりを演じさせ、多くの悩める人々を今後も救い続けようとするのだ。このテーマ。我々が書き込んできたサイトやSNSの記載内容は我々の死とともに抹消すべきなのか。それともそこに何らかの独立した人格を認め、もしくは既にファンがいるものならみんなのものとして、誰かの手によって引き継いでいっていいものなのかどうか。最近、その現代的なテーマを扱った英語の論文を読んだばかりだったので、これまた意外にタイムリーな内容だった。

映画としての完成度は低く、気に入らない点もあるが、それはここでは割愛しよう。

山田優が好演。萩原聖人、森本レオ、山崎邦正、博多華丸、神取忍も出演。