海老シュウマイ

暗いところで待ち合わせの海老シュウマイのネタバレレビュー・内容・結末

暗いところで待ち合わせ(2006年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

何度観ても、感想を言語化できなくて困る。
絶賛するほどでもなく、不快というと言い過ぎで、絶賛のレビューを読むと納得だし、酷評もめちゃくちゃ共感できる。


全体的にセリフが少なくて、かといってモノローグで説明でもなく、雨の心象描写やひだまり描写だったり、ベタだけど映画的で好き。
地方の私鉄というロケーションも大好物だし、父親のコートを着るダサい田中麗奈が見られるのも最高。犯人がわかる一瞬のカットも映像の妙なわけで、映像化自体は間違ってないはず。

お話もやりたいことはわかるし、少なくとも劇中の人物はちゃんと理由があって動いていてロジカル。
キスして終わるような気持ち悪いラストも回避されていて良き。彼の行為も配慮されてて良き良き。


ただ、
やっぱりやりたいこと先行というか、結果から帰納法的に物語を作っている感じがノイジーな気もする。こねくり回した感というか。

例えば、絶対130分は長すぎで、父親との同居部分で冒頭20分を使うわけだけど、これ全部削っていいと思える一方で、
その間に、父親のコートやら時間読み上げネックレスやら重要なアイテムを登場させたり、家事はできること、なぜこの家にテレビがあるのか(後々、ニュースを流す描写をやりたいため)、などの理由付けとして確かに必要。あとその後のホラー的な雰囲気作りとしても人の死は必要。
でもこれうまいって言えるかぁ?人の死とか葬式とかそんな使い方するなよぉ。
ついでに「おかぁさぁーん!」のシーンいる?ってなる。
(あのシーンを実は男の方が見てた、とかもう伏線回収の呪いにかかってるとしか言えない)

そして、
・意味ありげすぎる途中入場の人物
・物語を動かすためだけの友人
一人で外出するよう急かす→躊躇する主人公と男の玄関でのあれをやるため。
都合よく画面から退場して二人にさせる→井川遥とあれをやらせるため。
せめてあそこは田中麗奈の側から会いに行かせれば彼女の成長とか自立とかできるのに
・露悪的すぎる通行人、工場の人々
・土鍋のくだりはうるさいよ
など、お話も、演出も言うほどうまくなくない?って印象のままエンドロールになってしまう。

一番は、「二人の奇妙だが心温まる共同生活」、「次第に心通わせていく二人」、みたいな、この物語で一番大事なところが大音量ノイズでかき消されてしまい、
それ観客が勝手に補完してない?
でも説明セリフに慣れきった自分が読み取れなかっただけ?
という葛藤を抱えることになり、
最終的な印象も冒頭のような両極になってしまう。

いろんな方々に観ていただいて、原作と一緒!違う!以外の感想を読みたい一方で、積極的に勧めるかと言えばステイでもあり、ほんと難しい…