お美しい…!
死人の肌に獣の瞳をして、爪先まで美しい生き物たち。
萩尾望都の「ポーの一族」が先に入っているので比べてしまう。
「ポーの」主人公は15歳だし、エロと表現するには幾分柔らかな、妖しさをもつ画面。
対して映画はトム・クルーズとブラッド・ピット、アントニオ・バンデラスのエロくてグロくてゴツい絵面。
そして「二人の子供」!
ファンタジーなボーイズラブだった。
発表は「ポーの一族」の方が先だけど、どちらも耽美に完成されてる。
トム様が美しくて中性的でハマり役。
長命の生き物らしい美貌だな、と思うのは「ポーの」影響かも。
キルスティン・ダンストが可愛い悪魔だった。悪い子。
手塩にかけてやったクローディアにハメられたレスタトの表情!
ミレイのオフィーリアを腐らせたら、レスタトみたいだな。恋を失って湖沼に沈む。
血まみれになったり腐ったり灰になったり火達磨になるヴァンパイアたち。
火に巻かれながら天井を這う様はただの化け物で、ゾッとする。
朝焼けから逃げるようなエンディングに目を細めた。
前半の典雅な字幕文章も好き。
聖書の登場人物は900歳まで生きた計算になる人もいる。
ヴァンパイアだったのかなーなんて、妄想エンジンがすこぶる調子がいい。
長命への憧れもないので、ちっとも羨ましくない会話劇。
時代に触れる…ねぇ。
過去を知る為の知識が満ちている現代に、夜だけを生きていく未来なんて羨望したりしない。