YYamada

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアのYYamadaのレビュー・感想・評価

3.6
【ヴァンパイア映画のススメ】
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』
(1996)

◆本作のポジショニング
 人類 ←← (捕食) ←← ヴァンパイア

〈見処〉
①トム・クルーズ×ブラッド・ピット
 ヴァンパイア「復興映画」
・『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』は1994年製作のゴシック・ホラー。
・本作の舞台は、サンフランシスコ。とある建物の一室で、野心的なライターのマロイ(クリスチャン・スレーター)は、青年紳士ルイ(ブラッド・ピット)にインタビューを始める~「私はヴァンパイアだ」
・回想は18世紀末のニューオリンズに遡る。妻子を失い絶望の底にいた若き農場主のルイは、レスタト(トム・クルーズ)と名乗るヴァンパイアから、興味を持たれる。レスタトに首筋に牙を立てられ「このまま死ぬか。共に生きるか?」~生に絶望を感じていたルイは、永遠のレスタの伴侶となるべくヴァンパイアとして生きる道を選ぶ…(Wikipediaより抜粋)。
・本作は吸血鬼に魅入られ、不老不死となった青年による200年に及ぶ数奇な運命を描いたホラー・ロマン。重厚なストーリーながら、トム・クルーズ、ブラッド・ピット、クリスチャン・スレーター、アントニオ・バンデラスら90年代のトップスターが大挙出演。日本でもデート・ムービーとしてもヒットした、ヴァンパイア映画の復興作品である。

②物言う原作者
・本作は、アメリカが誇るベストセラー作家アン・ライス女史のカルト小説「ヴァンパイア・クロニクルズ」シリーズの第一作『夜明けのヴァンパイア』(1976)を、彼女自身の脚本で映画化したもの。
・原作者ライスが主人公レスタトにアラン・ドロンを念頭に置いて執筆した原作は、過去に何度も映画化が企画され、幾多の監督・俳優が候補に上ったが実現しなかったプロジェクト。
・ワーナーブラザーズは配給権を得るにあたり、本作の脚本を彼女に委ねたが、ライスから、レスタト役に『眺めのいい部屋』のイギリス人俳優ジュリアン・サンズや、ルトガー・ハウアーら長身俳優の起用を要望。
・しかしながら知名度の観点からライスの要求を却下した製作陣営。トム・クルーズ×ブラッド・ピットという当時最強のキャスティングを断行も、熱狂的な愛読者を率いるアン・ライスは「私が思い描いたレスタトとひどく乖離している」「まるでトム・ソーヤーの冒険のトムとハックみたい」と不満の意を表明。
・結局はワーナーが強硬したキャスティングにて本作は大ヒット。完成作を見たライスは『ヴァラエティ』紙の広告スペースに本作を絶賛する文章を掲載するなど、ワーナーの完勝に終わる。
・物言う女性原作者は、他にも『ハリー・ポッター』シリーズが有名であるが、いずれもワーナー配給。2022年より、
アメリカの放送局「AMC」が、本作シリーズのドラマ放送が発表されているが、果たしてAMCは、ワーナーのように上手く立ち回れるだろうか?

③結び…本作の見処は?
○: 急逝がなければクリスチャン・スレーターが演じたインタビュアーは、リバー・フェニックスが演じる予定であった本作。キャスティングの豪華さは、ヴァンパイア映画随一。
○: ブラッド・ピット主演『ベンジャミン・バトン』のような叙事詩。その舞台が、ブードゥーが土着するニューオリンズ であることがゴシック・ホラーとしての雰囲気を高めている。
○: 長身のブラッド・ピットと共演するため、20cmのシークレットブーツを着用したというトム・クルーズの都市伝説の真偽は判らなかったが、「美しい悪」として堂々の演技ぶりが堪能出来る。
○: エンドロールに流れるガンズ・アンド・ローゼズによるカバー曲「悪魔を憐れむ歌」は本作コンセプトに見事に合致。歌詞入りで見たかった。
▲: 本作の重要キャラクター、少女吸血鬼クローディアを演じたキルスティン・ダンストは、ボストン映画批評家協会賞助演女優賞などを受賞、一躍若手のホープとなっているが、当時12歳の彼女にこんな過激な役をさせて良いのだろうか?
▲: ホラー映画としての「恐さ」はあまり期待出来ない。また、トム・クルーズ、ブラッド・ピット、アントニオ・バンデラスらの美男たちは、現代の装いの方がカッコ良い。

キャスティング変更により、続編も製作されているが、パワーダウンしていそうで、まだ見ていません。
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