ペコリンゴ

アトミック・カフェのペコリンゴのレビュー・感想・評価

アトミック・カフェ(1982年製作の映画)
3.3
記録。
核は世界を救ったか。

ご存知の通り我が国は世界で唯一、核兵器による被害を被った国。そんな日本国民にとっては複雑なドキュメンタリー作品が本作。

サイレント作品ではないもののナレーションは一切無し。全て1940〜1950年代の様々な媒体のフィルムやラジオ音声等の素材の組み合わせで構成される。

その素材の数々は貴重かつ今の目線で見ると良くも悪くも新鮮で、核実験の様子を収めた記録映像やプロパガンダ映画の一幕には色んな意味で驚かされる。

当然、広島・長崎への原爆投下についての実際の映像も使用されており、その悲惨さについては伝え聞く以上の説得力をもって目に飛び込んでくるのだけど、それ以上に当時のアメリカ国内の大衆に巻き起こった祝福ムードには流石に面食らってしまう。

本作は、核兵器が如何に危険で残酷であるかという真実が政府やメディアによって覆い隠されてきた黒い歴史を明るみにする。現代の目線で見ると信じ難い。でも当時の民衆にとっては効果的だったのだろう。

認知されていないものは操作しやすい。
皆んなそれを知らないから。当時の民衆にとって核は未知だった。では現代は…?

身近な未知があるこのご時世、騙されないようにしたいものだ。