LalaーMukuーMerry

コロンブス 永遠の海のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

コロンブス 永遠の海(2007年製作の映画)
3.5
コロンブスの大西洋横断、その後の生涯などを描いた歴史ドラマとかってに思っていたが、全然違った。コロンブスの出生の秘密を生涯調べ続けたポルトガル人研究者とその新説を伝える映画だった。うーむ(汗)
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コロンブスの本当の名はコロン。一般にはイタリアのジェノバ生まれとされているが、そうではなく、ポルトガル領のポルト・サント島(カナリア諸島の少し北の島)の生まれ。そして彼は、ポルトガル王室につながる血統を持っていた(父はポルトガル王、母は探検家の娘、彼は王の私生児だった)。
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・・・ですが、なぜその結論に至ったか、根拠となる資料の説明がほとんどない。ただその結論を信じる研究者が、妻を連れてゆかりの地を巡って歴史の説明をするという内容。
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バックグランドとして、ポルトガルの誇り(多分にスペインへの対抗意識)、その誇りのもととなるのは、次のような歴史上の偉人は全てポルトガル人だったということ。コロンブスもそうであってほしいとひいき目があったのでは? 
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・エンリケ航海王子(大航海時代の初期、ポルトガル発展の礎を築いた人)
・バルトロメウ・ディアス(南アフリカの喜望峰に達した人)
・ヴァスコ・ダ・ガマ(喜望峰を越えてインドに達した人)
・マゼラン(初の世界一周航海をした人、本人は途中フィリピンで死んでますが)
・ピント(アフリカ・アジア・日本まで旅した冒険家)
・カブラル(ブラジルを発見した人)
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コロンブスの新大陸発見の支援をしたのが、ポルトガル王ジョアン2世ではなく、ライバルのスペイン女王(イサベル1世)になってしまったのが誠に残念。あれをもしポルトガルがやっていたら、トルデシラス条約(新大陸発見のわずか2年後の1494、経線で世界の植民地を2分して、東はポルトガル、西はスペインが領有することに合意した、今から見ればほんとに身勝手な植民地分割条約)など結ぶ必要もなく、世界は全てポルトガルのものになったのに・・・。
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とまでは、さすがに言ってませんが、そんな風な思いも感慨の中にはあったのかなと。
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大航海時代の人物名を知らなければ話にほとんどついていけないので、映画の中で感慨にふけっている研究者にかえって白けてしまうことでしょう。私がそうでした。残念。「映画としては全然おもんない」が素直な感想ですが、こういうのが好きな人には興味深いのかも。