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母たちの村のRのレビュー・感想・評価

母たちの村(2004年製作の映画)
4.4
アフリカにおける女性割礼の話という前情報のみで見ました。まず冒頭、4人の幼女たちが主人公コレのもとに走って来て、割礼されたくない!保護してお願い!と駆け寄って土下座する。初めは追っ払おうとするコレだが、割礼を受けさせなかった自分の娘に、あの子たちを守ってあげて!と言われて保護を引き受けることにする。保護するために、彼女たちは自宅の玄関のドアの足元にカラフルな紐をacrossにくくりつける。何だろうか、これは、と思ってると、他にもちょいちょい、何だこれ?となるとこがあって、結局中断して調べた結果、ちょっとだけ前知識が要ることが判明。まず、女性割礼とは、クリトリスを切り取ったり、性器の外側の部分を削ぎ落としたり、生理や排泄や性交時にギリギリいけるくらいの隙間を残して性器を縫ったりすることで、割礼が直接原因で死んだり、感染症で苦しんだり、その後苦痛がずっと残ったり、子供が産めなくなったり、セックスのたびに激痛を感じたり、という状態になる危険性が高いということ。それが、古代文明くらいの時代からずっと行われていて、みなイスラム教の儀式だと言ってるが、宗教とは実は関係がないということ。で、割礼を受けなかった女子はピラコロと呼ばれて、汚れた者と見なされ、結婚できないこと。で、本作の原題モーラーデとは、保護を求めてきた人間を、合意した人は何があっても守らなければならない、また、モーラーデ中は、上で触れた紐を何ぴたりとも踏み越えてはならず、保護されている人に手を出すと、天罰のようなものが下る、そしてモーラーデは合意した人の宣言によって解かれる、という風習。以上は知っておかないと、話がよく分からない。全体としては、女性割礼とモーラーデという二つの土着文化のせめぎ合いを描いた作品と言える。おっと、もうすでにめちゃめちゃ長くなってるので、手っ取り早く感想を…。えっと、正直、いろいろ調べるまでは、ことの重大性があまり分からないので、そんなに楽しめてなかったんだけど、わかってからは、どのシーンもちゃんと意味が込められてることがわかり、非常におもしろかった。最初は割礼反対に反対してた母たちも、ひとりその不条理に立ち向かうコレの姿に心動かされて、一緒に闘うようになるシーンとか、その反対勢力を抑圧しようとする男たちのなかからも、考えが変わっていく人がひょっとしたら出てくるんじゃないか、と希望を感じさせる終わり方とか、とても良かった。いろいろとアフリカの初めて目にする生活面も興味深くて、例えば、一夫多妻の妻同士が結構仲が良かったり、服装とか家具とかがカラフルで派手で可愛かったり、なんじゃこのわけのわからん巨大なサボテンみたいな建物は、と思ってたらそれがモスクやったり。あと性器切断のシーンは、直接見せるわけではないけど、やっぱかなりショッキングだった。
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