もめん豆腐

ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレのもめん豆腐のレビュー・感想・評価

3.6
公開当時、おぼろげな記憶だと日比谷のみゆき座で観たと思う。20数年ぶりに再鑑賞。
なんということでしょう、ほとんど覚えてなかった🫠「えっ!?何言うてはるの?」な展開ですら覚えてなくて、ジャクリーヌの発言よりその事実に驚愕したさ。怖い、怖いよ、この忘却力。
ところで、当時からこの映画を公開することに彼女の複数の友人知人から猛反対があったことは知っていたので、話半分のフィクションだということで観た。そりゃそうだよね、な話が入ってるのもあるけど、誰もが自分で自分がわからないのに、仲良し姉妹といえどその人の人生を発表するには無理がありすぎる。他人のあてくしが見ても、あの展開は必要ない。彼女とチェロと周囲の人との人間関係を描けばいいのに。
そこを差し置いたとしても、芸術家の孤独は十二分に伝わった。それは子供の頃から孤独だったんじゃないかな。どうも、あの母親のやり過ぎ感が姉妹に悪影響を与えてる気がしてならなくて、家庭もいうほど温かくないような気がする。教育ママゴンの芸術家版。そう言えば清塚信也さんのお母様もそういう方らしいのを思い出した。
ただ、彼女には“チェロのお父さん”と呼べるほどの素晴らしい師との出会いがあったことがとても幸運だったと思う。夫との会話にも、その師から受けた影響の話をしていたし、人生において“誰と出会ったか”が重要なポイントだと思っているので、その点では彼女はとてもツイている。
構成では、ヒラリー目線とジャクリーヌ目線の2つが用意されているところも良かった。みんなそうだと思うけど、記憶って自分に都合のいいように書き換えられてるから、ふたりの事実が違うのは当然。そこを丁寧に見せてくれた。
演奏シーンもエミリー・ワトソンが本当に弾いているのか迫力もあり、加えて、衣装もブロンドの髪に合わせた美しい色のドレスを見て堪能する楽しみつき。
観終わった後に生前の彼女と夫のツーショット写真を見たのだけど、役者さんの再現度の高さに驚いた😧そっくりよ。興味のある人は検索検索。
蛇足だけど、ジャクリーヌが夫となる人を連れてきた時のヘアメイクがBBを彷彿させた。流行ってたのかな?
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