滝和也

破局の滝和也のレビュー・感想・評価

破局(1950年製作の映画)
3.5
男の意地か
家族の幸せか…

不幸に魅入られ
墜ちた闇の海から脱出
する事はできるのか…。

男は覚悟を決めて
決断を迫られる…。

「破局」

アーネスト・ヘミングウェイの脱出を原作に持ち、カサブランカのマイケル・カーティスが監督したノワール色を持つサスペンスの小品。男が持つ夢や意地が家族を貧しくし、ギリギリで保たれていた均衡がホンの少しの不幸から崩れ、悪に染まらざる得なくなると言う悲劇を骨太に描いた作品。

皆さんが書かれている問題点はノワールに不可欠なファムファタール(悪女)として存在したパトリシア・ニールだろう。一見そう見えるが実はストーリーに何の帰依もしていなさそうに見え、美女の賑やかしの様。

あると言えば貞淑な妻役フィリス・サクスターとの対比だろう。髪を似せてまで染めてくる貞淑な妻と好きな様に主人公をたらしこもうとする悪女。その対比から靡かず行く主人公が最後に取る行動は連動していると言える。

まぁ…原作がそうなのだろうし、ヘイズコードのある時代なので、こうなるのは分かるが…それでもかなりハードで攻めている内容だろう。ラストのあの少年が立ちすくむシーンがあまりに悲しい。

マイケル・カーティスのカサブランカのイメージからするとかなり甘い感じなので、それをイメージしているとハードに感じます。ただ…主人公をハードボイルドにしたかったのか否か。屈強か否かキャラに迷いみたいなモノが女性といるシーンで見えます…その辺は普通の弱き人間でブレがあるのが当たり前なのかも知れませんが…。

強くオススメかと言うと微妙かな…。お暇があればかな(笑)
滝和也

滝和也