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日曜はダメよの一人旅のレビュー・感想・評価

日曜はダメよ(1960年製作の映画)
4.0
ジュールス・ダッシン監督作。

赤狩りによってハリウッドを離れたジュールス・ダッシン監督が1960年にギリシャで撮り上げた恋愛コメディで、のちにダッシンの妻となるギリシャ女優:メリナ・メルクーリが奔放なヒロインを好演します。ギリシャ音楽の中心楽器ブズーキの旋律に乗せた主題歌「日曜はダメよ」はアカデミー歌曲賞を受賞しました。

ギリシャの港町ピレウスを舞台に、ギリシャ研究家のアメリカ人:ホーマーと男たちのアイドル的存在である美人娼婦:イリアの出逢いと交流をギリシャ語と英語が飛び交う中に描いた恋愛コメディで、ギリシャの風土・文化・風俗・歴史・音楽・国民性を余すことなく詰め込んだギリシャ色満載の騒動喜劇となっています。

堅物のアメリカ人と自由奔放な地元娼婦の凸凹な化学反応を愉快に描いて、ギリシャ人の陽気な気質と人生観を大らかに謳い上げた喜劇映画の名篇で、『ローマの休日』(1953)のように物語の舞台となる都市の風物や名所を巡る観光映画としての魅力も存分な作品となっています。

監督のジュールス・ダッシン自身が上から目線のアメリカ人を軽妙に演じていますが、それ以上に、相手役を務めたギリシャの至宝:メリナ・メルクーリの目鼻立ちのくっきりした美貌&スタイルと底抜けに明朗な演技が一級の輝きを放っています。
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