猫そぎチャンスペロッテ

悲しみのミルクの猫そぎチャンスペロッテのレビュー・感想・評価

悲しみのミルク(2008年製作の映画)
4.2
2008年ペルー
監督/ クラウディア・リョサ
出演/ マガリ・ソリエル(ファウスタ)

この映画『悲しみのミルク』は、ペルー人女性監督クラウディオ・リョサ製作で、彼女の伯父がノーベル賞作家マリオ・バルガス・リョサであるという血統的にも、また作品的にも「文学的な表現力」をそなえた映像作品ということです、、


主題の土地ペルーでは、南米のポル・ポト派と呼ばれた「センデロ・ルミノソ革命組織」による内乱が1980年から20年続いた、、そしてペルーの農村を拠点に無差別テロを続け、女性に対する乱暴も多かった、、

ファウスタの母親はその被害者で、目の前で夫を惨殺され、その(火薬の匂いがした)陰部を口に押し込まれながら陵辱された、、その時、胎内にはファウスタがいたという、

〈母親が歌う〉・・語尾が伸び、語るような歌声、ろくでなしどもへの恨みもいっぱいこめて歌う、、そして其の歌の続きを優しく繋ぐようにアドリブで娘が歌い、また語る、、
「思い出せないのは死と同じだから」という悪の記憶が厳しく辛い、
荒廃したペルーの山々が窓の外に広がる

ファウスタは「子供の頃から恐怖で鼻血を出す」体質で、、
さらに母親の体験を母乳から受け継いで「恐乳病」にかかったと信じるファウスタ、、母の体験が怖くて恐乳病の少女は、自分の中にジャガイモを入れました、
現代医学で「恐乳病」と言う病名はありません、母乳からの感染もあり得ないのです、、しかし、迷信を信じている限り救いは訪れない、、と言うことは確かだ、、、

そういった内乱の暗い過去を抱えながらも希望を見出していく人々の姿を描いていくヒューマン・ドラマであり、

結婚式の場面も多い映画のなかで「(南米らしい)赤が情熱の色なら・・」と男たちが恋人に伝えるその赤と、トラウマを抱え自分の言葉がなかなか出てこないファウスタが口に咥(クワ)える真っ赤な花とが対比され、その意味合いを映像がさりげなく伝えてくる、
そして悲哀から咲き誇る『希望の花』であってほしいと・・ファウスタが寡黙であるだけに希望💕は強くなるばかりだ、、💗(ココロウタレタ❗💕)