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オルエットの方へのCのレビュー・感想・評価

オルエットの方へ(1970年製作の映画)
4.2

酔ったあたしは、
(出来ないけど)巻き舌気味で、オルエット!って言いたい。で、笑いたい。
カジノ オルエット!って言いたい。で、やっぱり笑いたい。
木靴を履いて踊りたい。
どーでもいい瞬間に居合わせて、やっぱり誰かと笑い合いたい。
そんな気分。


ほんとにホームビデオを観ているかのような気持ちになる映画だった。彼女たちのバカンスの数日間を収めた「だけ」の映画、ほんとうにそれだけ。それだけなのに、嵐の中、部屋でシュークリームやらエクレアやらを、ベッドの上で女子3人が食べてる姿に涙する映画って、なかなかないと思う。子供じみたイタズラに笑い合う彼女たちの姿が、なんだか懐かしく思えた。と同時に、羨ましくもなった。「あの頃」が、あたしには2度と戻ってはこないような気がして、彼女たちの無邪気にはしゃぐ姿には、もはや嫉妬にも近い気持ちを抱かずにはいられなかった。おばあちゃんのおまるを被っては花嫁みたい、と笑ったり、木靴を履いて踊って笑ったり、床にブチまけられた鰻にキャーキャー言って逃げてみたり。言ってしまえば、どうでもいいようなシーンがたくさんあるの、だけれど、そのどれもが特別な瞬間で、そのワンシーンワンシーンに、観てるこっちもその場に居合わせているかのような気持ちになって、一緒になって楽しくなっちゃうから不思議。彼女たちのバカンスに完全に巻き込まれてウキウキしちゃう。のに、始まりがあれば必ず終わりがくるように、この作品はちゃんと「バカンスの終わり」が近付いていることを体感させる部分がすごいと思った。やー、面白かった。
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