ノリオ

ジェネラル・ルージュの凱旋のノリオのレビュー・感想・評価

1.9
『チームバチスタの栄光』の続編。
前作に感じたチグハグ感が今作も引き続き残っている。

医療問題をテーマにサスペンス仕立てで進行していくというのは面白い。
実際、医療現場というのは閉塞的な場所だと思うし、前作の『チームバチスタの栄光』での犯行現場が手術室というのも興味をそそるものがある。

この手の作品でよく扱われる、医師不足、労働状況など、例外なくこのシリーズでも描かれている。
これらの社会問題に真っ向から切り込んでいるのかという、それが若干疑問視される。

竹内結子と阿部寛のコンビが探偵さながらに事件を推理していくのだが、『神経内科医の事件簿』的なタイトルで火サスで流れていてもおかしくない。
このデコボココンビのコンビである必要性というかがあまりに希薄なのである。
『相棒』シリーズでもっぱら杉下右京が推理して亀山はもはやお飾りになっているように、今作でももっぱら阿部寛が推理パートを担っている。
さらに、この二人にどうも緊張感というものがない。医療現場の不正に対するリアリティの欠如、竹内結子扮する田口にはその切迫感が決定的に欠落している。このような人物に院内の不正を暴く大役を任す院長の人選もどうかと思ってしまう。

唯一救いなのが、堺雅人の存在であろう。
彼の芝居に抑制が効いているおかげで、物語全体が浮つかずにすんでいる。だがそれでもエンターテイメント路線に仕上げようとしている演出はこの作品のテイストとは決定的に異なっているように思えてならない。

それ故に、救命医療シーンやドクターヘリなどご都合主義的な予定調和感がありありと出てしまい、あざとさすら感じてしまう。


現代の『赤ひげ』にもなるような題材なだけに非常に残念である。
ノリオ

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