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ミッドナイト・イン・パリのytのレビュー・感想・評価

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)
5.0
第84回アカデミー賞にて脚本賞を受賞し、これまで数々の作品を作り上げた巨匠、ウディ・アレンが監督・脚本を手がけた作品。”パリ”という誰もが美しいと感じる街を舞台に、ラブストーリーや皮肉の効いたコメディが展開。94分間をあっという間と感じさせる美しさと儚さは、彼のキャリア最大ヒット作となる。主演はオーウェン・ウィルソン。

[あらすじ]
→ハリウッドで成功した若き脚本家の男は、婚約者と憧れの”パリ”を旅行する。パリでの深夜0時。街で佇む彼を、鐘の音と共に現れたクラシックカーがパーティへと誘う。そこには、何故か1920年代に活躍した芸術家と同名の人々がいた……。

[レビュー]
・オスカー脚本賞は納得といった内容。懐古主義的な主人公と共に1920年前後のパリへタイムスリップする、とこの時点で面白い。例え当時のピカソだのヘミングウェイだのを深く知らなくとも楽しめる。そして観終わると、もう一度知識を付けてから観たくなる。伏線を回収していく様も見事で、理想と現実の対比も素晴らしい。正に映画を満喫した、と素直に言える最高の作品だ。

・冒頭に映るのは誰もが憧れる街、パリ。少々心配になる長さの風景描写は、鑑賞者をあっという間にパリの魅力に惹き付ける。これから映画の物語とパリの両方を旅するのか、とワクワクの気分になる。本作は、映画の内容とパリ、作中の現在のパリと過去のパリと2つの世界線を旅することになる。これまた面白い。

・”憧れの時代”であったり、”今の時代はつまらない”と思うことは誰しもある。ギルもそうだった。だが、今の時代でそう思うことは変ではない。不満や後悔があるのが人生であり、今を生きる世界線で爪痕を残すからこそ時代を超えて輝き続けるのだ。

私たちは、ギルが味わった”タイムスリップ”は味わうことは到底出来ない。しかし、当時のファッションやアンティーク品を身につけたり、味わったりすることは可能だ。懐古主義的な考えを持つのではなく、それを纏った自分を見て、未来を映し出すのも素晴らしいのだと実感できる。

・94分間と本作の題材にしては少々短めな作品でもある。現代の作品は、上映時間が長くなる作品が多いが、流石ウディ・アレン。この時間で、皮肉のあるユーモアを交えつつ、知識を活用しなくとも楽しめる作品を作り出す。脚本賞は満場一致だろう。

👉ここ最近観た映画の中ではダントツに面白かった。映像、内容共々映画を観た!と実感出来る作品。パリという街をもっと知りたくなり、行きたいと思わせる、パリへの愛情が溢れている作品。いつかパリへ行って、同じ場所で写真を撮りたいな。
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