Mikiyoshi1986

セリーヌとジュリーは舟でゆくのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

4.0
今年の1月に逝去され、来月で早くも一周忌を迎えるヌーヴェルヴァーグの名匠ジャック・リヴェット監督。

彼の残した作品の中でも一際異彩を放った代表作がこの「セリーヌとジュリーは舟でゆく」なわけですが、
本作は今観てもその摩訶不思議でファンタジックでオシャレでガーリーな世界にどっぷりと酔いしれ、尚且つ70年代パリを舞台に映画の現実と幻想を目一杯楽しむことができます。

元々は「不思議の国のアリス」から着想を得て制作され、即興演出や独特の編集方法、とにかく奇想天外な仕掛け満載で74年当時としても59年に始まったヌーヴェルヴァーグのDNAを絶やさぬアイディアで満ち溢れてる。

また、可愛い女子2人が終始ワイワイとはしゃぐ感じはどことなく「ひなぎく」にも通じていて、
劇中には実際にひなぎくの花が登場することから、ここには少なからずのオマージュが捧げられているのかも?

ひょんなことから迷い込んだ館の異空間内で、はたして二人は少女の定められた悲劇を回避させることができるのか?3時間なんてあっという間だぜ!

ちなみにフランス映画の巨匠ルイ・マルは本作を絶賛し、そのすぐ翌年に彼も同じく「不思議の国のアリス」を下敷きにしてシュールレアリズムの怪作「ブラック・ムーン」を製作しちゃうわけですが、
結局こちらは残念な結果に終わっちゃいました。
映画制作ってほんと難しいのね。

2016年はリヴェットにラウル・クタールとヌーヴェルヴァーグのドン達が立て続けに亡くなられ、なんとも寂しい限りです…。
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