ノムラ

スタンド・バイ・ミーのノムラのレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
4.2
4人の少年が死体を探しに行く話。昨今スタンドバイミーのオマージュやパロディが溢れるのも納得のいく作品だった。
ストーリーはただ線路を歩いて1泊2日かけて死体を探しに行くだけなのだが、それでもこの映画が名作として語り継がれる理由は、2種類の憧れがあるからだと思う。
1つは彼らの輝かしい友情への憧れ。若い時に観たらきっとこんな仲間達と自然の中でひと夏の冒険をしたかったと思ったに違いない。主人公の4人が問題を抱えている悪ガキなのもカッコいい。
そしてもう1つは、二度と戻らない失ってなお輝く少年時代に戻りたいという憧憬だ。中学生(海外ではジュニアハイ)以降、格差や環境、本人の能力によって左右され疎遠になった友情というものは誰にだってある。彼らとの友情は戻らないし、今会っても昔のようにはきっと上手くいかない。でも思い出だけは悠然と美しく留まり、時折人生の寂しさを慰めてくれる。
ストーリーも伏線もドラマもいらない。最後の一文がこの映画の魅力そのものであり、スタンドバイミーが人々を惹きつける理由である。個人的に映画好きよりも純文学が好きな人に刺さりそうな映画だなと思う。
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