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8月の終わり、9月の初めのslowのレビュー・感想・評価

8月の終わり、9月の初め(1998年製作の映画)
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きっとエンドロールが流れ始めれば、わたしは自然と、この物語で起こったことと、映画では描かれなかったその先の物語について、想いを馳せることになるだろう。もうわりと早い段階から、そういう予感がしていた。それはわたしの今日が、後回しになった昨日や先月、去年の繰り越しと、繰り返しなのだと、日常を生きながら、ふと身に染みる瞬間の、その感覚とどこか似ていたからかもしれない。わたしも誰かと全く同じには生きられないけれど、全く違うようにも生きられないのだろう。物は言いよう、嘘も方便。自分を信じられないうちは、賽を振ってみるのもいい。見て取れるほどの自尊心があるのなら、何を与えてしまうだろうかと考えてみるといい。脱ぎ散らかした恥を拾うのは、それからでもまだ遅くはないはず。笑顔にならない嬉しさにも、涙にならない悲しみにも、そうやって、言葉を添えればいい。物語は約束事のないしりとりのようで、終わることのない美しい言葉だ。
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