タクマ

クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望のタクマのレビュー・感想・評価

3.3
野原家の元に突如タイムパトロール隊員を名乗るリングストームがシロの体を借りて野原家に助けを求めてくる。彼女と共に未来の以上を修整する為に戦国時代に降り立つが…
劇場版クレヨンしんちゃん第3作。
これはちゃんと見たことなかったなあって思ってたけど見てる内に子供の頃映画館でみた初めてのクレしん映画やったのを思い出しました。クレしんらしいセンスが爆発してるタイトルバックやけど映画館で聞いた時は変なタイトルやなあって子供ながらに思っちゃったんですよね「笑」
前半はアクション時代劇、終盤からはSFロボットとかなり脚色が異なる一本。本作のゲストキャラの吹雪丸が見せる敵との刀を使った戦闘シーンは緊張感も迫力もあってアニメの中でもちゃんとキレを感じれるのが良い!何気に本家のチャンパラ映画にも愛を感じる場面もちょいちょいあったり。戦いが終盤になるにつれて刀が刃こぼれしてボロボロになって行く所とか芸が細かいですね。後々同じクレしん映画で「嵐を呼ぶアッパレ戦国大合戦」が出てきてあちらの合戦シーンも凄かったけどこちらはこちらで古き良き時代劇アクションとしての面白さでしたね。
本作のゲストキャラになる吹雪丸。背景にあるバックボーンだけ見てたら手塚治虫先生の「リボンの騎士」に出てくるサファイアと同じ物を持ったキャラクター。戦国っていう時代背景が吹雪丸の生き方を確定づけてしまったわけだけど彼女自身も心の中で今の自分は本当の自分なのかな?っていう迷いを抱えてるのも事実で。しんちゃん達と行動する中でそういう迷いと向き合う様になるわけだけどそんな葛藤を乗り越えて自分の大事な物の為にひたすら前に進んで戦う姿がかっこ良くカタルシスも感じるキャラクターになってましたね。
終盤のSF展開はタイムバラドックスから作中の伏線を見事に回収させる上手さを見せながらラストは巨大ロボットバトルで閉める手堅い展開ではある物の先に言った吹雪丸の葛藤がやや中途半端で彼女の活躍をもっと見たかったと感じたのも事実。個人的には最初から最後まで時代劇アクションとして見れた方が良かったかなあ。とはいえ映画作りに必要なのは自分達はこれがやりたかったっていう心意気。子供達もメインターゲットになるクレヨンしんちゃんと言うシリーズコンテンツにガチのSFをぶちこむ作り手達の妥協無きクリエイティブ魂をリスペクトしたいです。
お話の内容とかキャラクターの設定とかを見てたら初期のクレしん映画の中ではまあまあ大人向けの映画かな。
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