ダイゴロウ

残菊物語のダイゴロウのレビュー・感想・評価

残菊物語(1939年製作の映画)
3.8
溝口健二監督の代表作の一つ。

旧さ故か、音質がなかなか厳しく、やや鑑賞しがたい側面がある…。

歌舞伎役者と弟の若い乳母との身分差の悲恋(ロミジュリ)を描いた作品。

養子ながら座長である父親の二代目として、周りからチヤホヤされて不自由なく育ったがゆえに、大根役者として芸が磨かれずに来ていた主人公に対し、乳母であるお徳が正直な感想を述べるところから2人の恋が始まる。
この長尺シーンのカメラワークが気持ち良い。

しかし、まさに「糟糠の妻」といえる彼女を、寧ろ追い出すような周りの人々の姿勢が許せない(時代や立場上仕方ないのだろうか?)し、内容的にはかなり重たい印象の作品でした…。
終盤の上達した歌舞伎と病床の妻お徳の残酷で悲しいコントラストが映画的には酷く美しく、非常に印象的でした…。