マインド亀

砂の惑星のマインド亀のレビュー・感想・評価

砂の惑星(1984年製作の映画)
3.0
ヴィル版デューンが大ヒットの今だからこそ!リンチの無念を補完しながら楽しむ独自の世界観!

BLACKHOLEにてお便り採用されました!高橋ヨシキさんに疑問点を丁寧にお答えいただきましたので注釈つけました。ありがとうございました!
https://www.youtube.com/live/apWoZ5dRSe0?t=4414

●デビッド・リンチ版『デューン/砂の惑星 』ようやく観ることができました!!というよりも、寝落ちしないで最後まで観ることが出来たというのが正確な言い方かもしれません。
ずっと何度も鑑賞チャレンジしていた本作、毎回世界観と複雑な用語に翻弄されながら起伏のない展開で5分毎に睡魔が襲い、「ああ、この作品はピカード艦長が出てるんだ…」というくらいのところで鑑賞を断念しておりました。

●しかしながら、ドゥニ・ヴィルヌーヴ版の1,2を鑑賞したおかげで世界観や用語がすんなりと頭に入り、また本作がダイジェストで端折った不足な部分を脳内補完することが出来ました。本作のやりたかったことや断念せざるを得なかったところの無念さを知ることが出来、ようやく本作を自分なりに評価することが出来ました。
まずもってディノ・デ・ラウレンティスよ、何故にリンチのクリエイティビティを信頼しなかったのか、とこんこんと問い詰めたい。リンチの世界観を表現するには最低でも3時間は必要で、何故にスター・ウォーズ3部作という成功例があったにも関わらず、同じ方式を取ることができなかったのか…と思わざるをえません(※1)。

●リンチは白黒で撮りたかった、という発言もしていることから、これが実現していれば無機質で悪夢的な、むしろ稀代の傑作SFが誕生していたかもしれませんね。ひょっとするとヴィルヌーブ版のフェイド=ラウサ誕生祭のモノクロ展開は、このリンチの発言を部分的に採用したものではないでしょうか(※2)?

●また、皇帝シャダム4世の娘イルーラン王女が世界観を解説してくれる冒頭の顔面ドアップナレーションシーンは、アトラクションに乗車前の解説ビデオのようでワクワク感がたまりません。謎に2度ほど消えたり現れたりするおちゃめなところも楽しすぎます。ヴィルヌーブ版Part.2の冒頭でこれをやってくれたら満点だったのになあと思いました。

(※1)ヨシキさんのお答えで、ヨシキさんがレッド・ドラゴンでの来日時にディノ・デ・ラウレンティスへのインタビューで、「カット前のロングバージョンはビューティフルな出来だった。しかしユニバーサルの判断で、回転して回収できる尺にしろ、と言われてその契約書を飲んでしまった。そのことを今でも後悔している」と言っていたそうです。

(※2)ヨシキさんのお答えで、1983年12月号スターログ掲載、中子真治さんのデューン撮影現場でのリンチへのインタビューで、「デューンをモノクロで撮影しようとは考えませんでしたか」の問いに「これは極めて色彩的な物語だということで、最初からカラーで行こうと考えていた。フレディ・フランシスのような優れた色彩感覚を無視するようなナンセンスは考えられない」と答えているそうです。
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