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戦士の休息のADULTVIDEOMANのレビュー・感想・評価

戦士の休息(1962年製作の映画)
3.3
いやらしいのは裸ではなくそれを見る男の視線だ、という台詞に、ロジェ・ヴァディムは映画の機能について語らせていて、それに常に忠実であろうとする。しかし本作で裸で暖炉にあたりながら恍惚とするBBや、バーバレラで謎のマシンでよがるジェーン・フォンダ、素直な悪女での狂ったダンスなど、男性の視線の対象であることをものともせず女性身体が見る/見られるの機制から著しく逸脱する画面を構築してしまうのもまたヴァディムだ。それはだが決して秩序攪乱的になることはなく、「物語映画」という装置であることを逃れられないがゆえに、視覚的快楽の一要素に還元されざるをえないことも確かだが、後年の映画史が女性身体の表象にどう取り組んできたかを考えるにあたっての、ひとつの反面的なモデルとして、ヴァディムの作品はあるように思えてならない。つまり、恍惚とする身体をポルノグラフィックに眼差さないためには、映画の装置そのものに揺さぶりをかけなくてはならないのだが、ヴァディムの映画はそこまではいかない、ということだ。
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