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フランケンシュタインの花嫁のhorahukiのレビュー・感想・評価

4.0
怪物は生きていた!
誰にも理解されない孤独な怪物が、フランケンシュタイン博士に「友だち」を作るよう迫る『フランケンシュタイン』の続編。

恥ずかしながら初鑑賞です。
名作として名高い『フランケンシュタイン』の続編でありながら、それと同等以上の評価を得ている本作。原作であるメアリーシェリーの小説の一要素として登場する花嫁のエピソードを取り入れることで、ジェームズホエール監督の原作に対するアンサーのような意味合いのある作品になっていました。

ゲイだったジェームズホエール監督の私的な思いを存分に取り入れた作品としても有名な本作ですが、そういう視点で見るとフランケンシュタイン博士(男)とプレトリウス博士(男)が協力して人造人間(子)を作る作業は意味深に思えてきますね。

プレトリウス博士はフランケンシュタイン博士に対して「生命の創造」という人としての禁忌を再び犯すよう何度も囁きかける。そう言った意味ではプレトリウスはメフィストフェレスのような誘惑の悪魔だと考えることができ、一度神の領域を犯したフランケンシュタイン博士の魂を再び陥れようと画策しているわけです。

一度人としての道を踏み外したフランケンシュタインにとって、エリザベスは人としての真っ当な道を歩むための道標。その道標を盾にフランケンシュタインに決断を迫るプレトリウスの悪魔的誘惑はフランケンシュタインに対する神の領域を犯したことへの罰であり、人としての再生という道などないという究極的な絶望を感じさせる魂の牢獄。

だからこそラストシーンで放つ怪物の言葉は、決して生み出されてはいけない創造物としての怪物が達した自覚と受容、そしてフランケンシュタインにとっては何ものにも変えられない最大級の赦しとして、観客の胸に深く突き刺さる。

また原作における希望でもあり絶望でもあった農場のエピソードも採用されており、理解されづらかったマイノリティとしての監督の思いを実現させたシーンへと原作を発展させているし、内面的対話の温かさと安らぎが、先入観の根深さや強固さを対比的に強烈に訴えかけてくる。ここの改変もホエール監督の原作へのアンサーとしての側面が大きいのだろうと感じました。

広い室内で慌ただしく動く人々を横への移動で捉える映像が非常に多く使われており、画面内での躍動感が増し、「騒」というイメージをより一層強くしているし、柱等の障害物を隔てた位置にカメラを置くことでどこか滑稽な印象をも与える。斜めにぶつ切りにした映像を左、右と矢継ぎ早に挿入するのも面白く感じました。

豪雨と雷鳴の中、画面奥に聳え立つ荘厳な趣きの城の内部に少しずつクローズアップしていく冒頭も好きだし、瓶の中に住む小人たちのコミカルな感じは単純にすげぇ…ってなった。怪物の心境を表すかのような枝も葉もない枯れた木々が並び立つ森の中を松明を掲げた人々に追い立てられるとこも良かった。

ダークユニバースの次回作が本作のリブートになるはずだったわけだけど、今だからこそ本作をリブートする意味があるんじゃないかな。ダークユニバースを頓挫させた『ザ・マミー』の罪は大きいですね。。。カリスたんを出せばきっとこうはなってなかったはず!!笑
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